相続事件Q&A
Q
遺言書があれば、もう争うことはできませんか?
A
一般的には争うことは困難ですが、例外的な場合もあります。自筆証書遺言は二段階に分けて考えるべきです。
まず第一段階ではその遺言書が遺言者が書いたものかどうかということです。
この点については、筆跡鑑定によることになりますけれども、筆跡鑑定というものは必ずしも信頼できるものではありません。
第二段階では遺言者が遺言書を作成した時点での判断力が問題になります。
遺言者が認知症であるとされた場合でも、その程度と遺言の内容によっては無効とならないことがあります。
私の場合、裁判所が選定した鑑定人が遺言者が書いたものではない可能性が高いという鑑定書を提出し、検査によれば認知症の可能性が高いと判断されている場合について、緻密な主張立証をして遺言書が有効であるという判決を得たことがあります。
公正証書遺言があれば争うことができる余地は狭くなりますが、公証人の遺言能力の確認というものは必ずしも厳格なものではありません。
有効な遺言書については遺留分(遺言によっても侵害できない権利)の検討をしていくことになります。
遺留分については、主張できる期間の制限がありますので、気をつけてください。
Q
遺言書を作りたいのですが、気をつけることがありますか?
A
遺言書には方式がありますので、所定の方式を守ることが必要です。
公正証書遺言にしておけば安心ですが、費用がかかりますし、手続きが面倒です。
所定の方式を備えた遺言書を作成し、法務局で保管してもらうのが簡易で低廉です。
また、遺言書の中で遺言執行者を指定しておいた方がいいでしょう。
遺言書作成に際しては、遺留分のことを考えておかないと、あなたが亡くなったあと相続人間で争いが起こることもあります。
Q
私の死後も妻には今の家で暮らしていけるようにしたいと思っています、いい方法はありませんか?
A
生前贈与も含めていくつかの方は方法が考えられます。
婚姻期間が20年を越えるに夫婦については居住用不動産の贈与税について特典がありますが、贈与した財産も含めて遺産分割の対象となり、これを「持戻し」といっています。
従って、遺言で贈与した財産を遺産分割の対象から外すという「持戻し免除の意思表示」をしておく必要があります。
先般の相続法の改正で、婚姻期間20年を超える夫婦については持戻し免除の表示があったとみなされることになりましたが、20年未満の場合はみなし規定は適用されませんので、遺言で持ち戻しの免除の意思表示をしておく必要があります。
持ち戻し免除の意思表示をした場合も遺留分(遺言でも侵害できない権利)との関係は問題があります。
また、先の相続法の改正で配偶者居住権という制度が設けられましたが、その内容についてはさまざまな問題がありますし、遺留分との関係も配慮しなければなりません。
なお、毎年少しずつ贈与するといういわゆる「小刻み贈与」の場合は慎重に行わないと贈与税の脱税とみなされることもありますし、年数によっては相続税の課税対象となることもありますので。気をつけてください。